1: yomiφ ★ : 2013/06/20(木) 23:49:00.84 ID:???
 巨大ロボット同士が戦う近未来の戦争に巻き込まれた若者たちを描いた代表作
「機動戦士ガンダム」(名古屋テレビ制作/朝日、1979~80年)は、セリフが難解で
人間関係が複雑、などの理由で、従来のアニメ視聴の中心だった小学生ではなく、
中学生以上に支持された。

 このため、「大人向けアニメ」とも評されるが、「まったく逆。まず子供ありきだった」と語る。
重要なのは作品に込めるメッセージ。「大人が子供に対して『これだけは覚えておきなさい』
ということを本気で伝えないといけない」と思っているのだ。

 そのために「子供向けだからと言って、かみ砕くことはしなくていい」がポリシー。
とはいえ、子供たちに「戦争の悲惨さ」を突きつけた「ガンダム」の内容は、地球侵略を図る
悪者とヒーローが戦う過去のロボットアニメとはかけ離れていた。初回放送では視聴率が
振るわず、52話予定が43話で打ち切られた。

 「敗北感はあったが、『命拾いしたかも』とも思った。物語作りとは、どれだけ話を圧縮して
厚みを持たせられるかということ。結果的にだらしのない作品にならずに済んだ」

 再放送以降、「オタク人気」が沸騰した。
「私としては、アニメという非現実世界に溺れないで、物語のメッセージについて考えてほしいんですが」。
次々と続編を生み、多数の類似作品も登場した「ガンダム」をひとつの起点として、
「オタク」向きアニメの市場は成長した。

 元々は映画監督志望だったが、手塚治虫の「虫プロダクション」に入社してアニメ業界へ。
最初に携わったのが「鉄腕アトム」(フジ、63~66年)だった。フリー転身後、名作ものや
ギャグなど様々な作品に関わり、「ドラマ作りを覚えた」。

 「オタク人気」の先駆け、「宇宙戦艦ヤマト」(読売テレビ制作/日テレ、74~75年)にも関わった。
「戦艦をキャラクター化し、幅広いファンを獲得した。『ガンダム』で『ヤマト』を否定したかった
部分もある。だが、メカのキャラクター化が人気を呼んだ点は同じ」と分析する。

 来年で「ガンダム」誕生から35年。
「オタク」の系譜を継いだ「新世紀エヴァンゲリオン」(東京、95~96年)には
「新しい切り口を発見した」との印象を持つが、
「アニメ好きが集まって作っているという、同質性を感じるものばかり」と
“その他大勢”には手厳しい。

 「今までの『ガンダム』を否定する『ガンダム』があってもいい。
 そんな作品をもう一つやらせてもらえたら、と思っています」

●「エヴァンゲリオン」ファン層拡大
 巨大ロボットが活躍するアニメの“元祖”は、横山光輝原作の「鉄人28号」(フジ、1963~65年)で、勧善懲悪の内容が人気を集めた。

 ヒロイックなロボットアニメは1970年代に全盛を迎える。永井豪原作の「マジンガーZ」(同、72~74年)や
3台の乗り物が合体する「ゲッターロボ」(同、74~75年)が人気を呼び、シリーズ化された。
作中のロボットを模した超合金などのおもちゃも盛り上げに一役買った。
同時期に放送された「宇宙戦艦ヤマト」は、視聴率は振るわなかったが再放送や映画化で人気を集め、ブームとなった。

 変形ロボットが登場する「勇者ライディーン」(NET=現朝日、75~76年)には、
美形の敵役シャーキンが登場。女子中高生らがロボットものを見るきっかけを作り、
登場人物の群像劇を重視した作品が増えた。その流れの中で79年に「機動戦士ガンダム」が始まり、
人間同士の戦争を詳細な科学設定や軍事用語を多用して描く「リアルロボット」作品が相次いで作られた。

 その後、凝った設定のロボットアニメは、オタク的なファン中心のものになっていった。
マニア受けしそうな宗教色や学術用語を盛り込んだ「新世紀エヴァンゲリオン」は、謎めいた展開が一般層を巻き込んだ人気となった。

 2000年代以降は、ガンダムなどのシリーズものに加え、旧作のリバイバルが目立つようになり、
毎日放送製作の「宇宙戦艦ヤマト2199」(TBS、放送中)は、物語は踏襲しつつ、より詳細な科学設定を盛り込んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/60years/talk/20130613-OYT8T00827.htm

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